先日会社を休んで現在六本木で開催されているミュシャ展を観てきました。
今回の目玉は何と言ってもスラヴ叙事詩。
晩年のミュシャがチェコの為にスラヴ民族の成り立ちを20枚の連作として巨大なキャンパスに描いた作品。この作品はその大きさと枚数から海外に運び展示することが難しく今日まで国外で展示された事がないという大変貴重な絵画です。
僕は1年半ほど前にチェコに行った際プラハ美術館で観ていたので人生2度目になります。自分の語彙力ではこの作品の素晴らしさの一片くらいしか伝える事は出来ないと思いますので今回はチェコで展示されていた時との違いや感じた事をベースに書きます。
展示会は六本木の新国立美術館。国立美術館に着くなりチケットの待機列が長いなぁと思いました。午前10時半頃に着いたのですが、既に10分くらいの待ち時間がありそうな列になっていました。僕は開催される前に前売り券を買っていたので直接会場の入り口に向かい待たずに入れましたが中に入ってもぎゅうぎゅうというほどではありませんが、かなりの人がいました。観るのをあまり混んでいない日にしたかったので平日にしたのですがそれでもそこそこ混んでいました。ただスラヴ叙事詩は大きいので並ばないと観れないというような事はなかったので観やすかったです。
観ていると何だか違和感が。これは思い出補正のせいが強いのかもしれないのですがチェコで観た時に比べて絵の色が薄くモヤっとしていると感じました。
しばらく考えて至った結論は、日本の会場には館内を明るくする為にスポットライトの他に白っぽい拡散光用?のライトが天井一面にありました。この白っぽい光が会場全体を包んでいる為ミュシャの絵もやっとしているんじゃないかという結論に至りました。チェコで見た時の会場は館内がかなり暗くスポットライトだけが当たっているようなレイアウトになっていたので周りの暗さが絵を引き締めていたのかもしれないです。
もしくは僕の視力が落ちてボヤけて見えてるだけ。色も薄く感じたのでそうではないと思いたい。チェコでの展示会場がこちら
チェコで見た時は日本語の解説がついていなかったので一枚絵から読み取るしかなかったのですが今回はどういうシチュエーションなのかが解説されていて助かりました。とは言ってもチェコの歴史を学んでいないので国王の名前やフス派といったことを言われてもよくわかりませんでしたが
チェコで見た時は『フス派の王、ポジェブラディとクンシュタートのイジー』が絵の構図や空気感、光などが綺麗で好きだったのですが絵の内容も分かって見て観ると
『ヴォドニャヌイ近郊のペトル・ヘルチツキー』がとてもいい絵で好きになりました。この絵は戦争に負けて悲しみ怒り報復しようという人をペトル・ヘルチツキーという人が復讐から何も生まれぬ…と思い留めさせているシーンなのですが家族が殺され拳を突き上げている人に感情移入してうるっとしてしまいました。
タイトルでも煽り引っ張りましたが今回のミュシャ展にチェコに飾ってあった一枚が日本に来ていませんでした。いや、実際は完成された作品として欠けているものは無いのですが連作の最期の一枚
『スラヴ民族の賛歌』
これは僕がチェコで見た時には完成版の横に白黒で描かれ、少し構図の違う同じサイズの絵が並んで2枚展示されていました。その写真がこちら
未完のものをわざわざ国外に出す必要もないのかと思ったていたのですが、購入した図録の『スラヴ民族の賛歌』の解説ページにもぱっと読んだ感じそのことが記載されていないのでなぜなんだろうと思いました。
何はともあれ本当に素晴らしい作品で、全体の20分の1を切り取っても絵として完成されているんじゃないかというくらいに細かく描写されていて、絵の中の一人一人にドラマがある。そんな作品です!展示は6月までなのでご都合合う方は是非足を運んでください!感動するよ。図録も2500円と高くない価格で分厚いボリュームのある本になっています、ネットでも購入できるらしいです。